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ゲーム脳になると本当の喜びが解らない!

「うちの子、ゲームばっかりして困っています」よくある相談。

今や小中学生の殆どがスマートフォンを持っています。そしてアーケードゲーム(ゲーセン)は下火になり、家庭用ゲーム機の性能が格段にUPしました。
好奇心旺盛な子供達がそういったコンピュータゲーム(以下ゲームと表します)に嵌まるのは無理もありません。
ここでは、そういったゲームに嵌まり込むお子さんとどう向き合うかを書いてみます。
(お子さんだけでなく、大人の方で自制できない方が自分と向き合うにも役立つと思います)

 

そもそも何故ゲームに嵌まり込むのか

一言で表すならば、【楽しいから】です。
ちょっとした空き時間でピコピコやって点数やアイテムを獲得するのが楽しいのです。通信タイプのゲームであれば、ゲーム内で出会ったどこかの誰かと【ゲームを軸にコミュニケーション】が楽しいのです。
そしてそれらは簡単にリセットできます。失敗したらやり直し。ゲーム内の誰かが気に食わなければ付き合わなきゃ良いのです。簡単お手軽でしがらみもありません。
ゲームを開発する側(仕掛け側)は、【レアアイテム】などを用意し、如何にやめさせないでプレイさせるかを考えて作ります。例えやめても次なる新作ゲームが目にとまるように提案されます。
楽しいだけ・・・それを繰り返します。

子供が嵌まり込むのも当たり前です!
ですが、ゲームの全てがダメでしょうか?きっとそうではありませんよね。

ゲームをもっと面白くする魔法【賭け】ゲームと賭け事との共通点

人間らしく生きるには娯楽も大切だと思いませんか?何から何まで縛り付けられた状態だと人生そのものが楽しくなくなります。
コンピュータで制御するゲームが出現する以前にも人間はゲームに嵌まってきました。
ですが、将棋や囲碁などを悪く言う人はあまりいないと思います。トランプや花札などもですね。
娯楽という括りで考えるなら、スポーツ観戦なども入るかも知れません。

これら全てもっと面白くする方法があります。それは【賭ける】ことです。つまり、何かの犠牲を覚悟して報酬を狙うこと。
未確定でも報酬への期待があると、人間の脳は喜びます。興奮し中毒になる場合もあります。
法律では禁止ですが、野球観戦でどちらが勝つか賭ける、トランプや花札で賭ける、囲碁将棋などで賭ける・・・どんなものでも何かを賭けると面白さが増し脳は興奮します。

子供達の大好きなゲームも、この【賭ける】という要素が巧みに盛り込まれていることに気が付いて欲しいと思います。
上手にプレイするとアイテムがゲットできたり、くじ引きの要素を取り入れて点数が倍増したり、やめようとしたら何かお得な提案がされたりします。嵌まるように考えて作り上げています。

子供はやってはいけないことになっていますが、日本では沢山の公営ギャンブルがあります。大人なら誰に咎められるでもなくギャンブルを楽しめます。
競馬、競輪、オートレース、競艇・・・いわゆる公営ギャンブルですね。公営以外にはパチンコがあります。お金を賭けて賭けた以上の金額を狙います。
このように書くと、「ギャンブルなんてもっての他」と感じる方もいるでしょうし、「子供のゲームと何が関係あるの?」と思う方もいるでしょう。解っています。もう少しお付き合いください。
スポーツ振興くじ(サッカーくじなど)、宝くじ各種、・・・大人の多くはこれらをギャンブルと認識しているでしょうか?
控除率という考え方をするとこれらもギャンブルなのです。くじという言い方に気を付けてください。

参考-公営ギャンブルの控除率について

表の上から「競馬」「競輪」「オートレース」「競艇」が一般的な認識の公営ギャンブル。「宝くじ」「サッカーくじ」は一般的には公営くじとして認識されていると思います。
ところが、【控除率】で見ると宝くじやサッカーくじの方が遙かに効率の悪い賭け事である事が解ります。控除率とは、簡単に言えば胴元の取り分です。控除率25%ならば、100円の掛け金のうち25%を運営側が取り分として確保し、残り75%を配当金として分配します。確率的に見ると控除率が大きいものほど勝てない賭け事となります。やればやるほど資金を失います。

大多数の大人が社会的に認知して支持している公営ギャンブルや公営くじと、子供達が夢中になるゲームに共通点はありませんか?
どれも報酬への期待があり、射幸心を煽るものばかりですね。
ゲームの場合、直接的にお金を賭けるという仕組みではなく、大概がポイント制を採用しており、そのポイントを賭けて何かに挑むという設定がされていたりします。
その仕組みは実に巧妙です。

もの凄く研究して作り上げたゲーム、【賭けと報酬】

ゲームの面白さには、最新の研究成果が盛り込まれています。
音響・色合い・ストーリー・報酬・・・個人の趣味趣向はデータベース化されて解析されます。そしてプレイヤー個々への提案内容までが緻密に計算されて配置されています。

ちょっと考えてみてもらえば解るのですが、コンピュータを使わない将棋などのゲームはBGMもありませんし、特殊アイテムのゲットなどはありません。単に目の前の相手との勝ち負けの勝負です。
ところがコンピュータゲームは、プレイヤーの行動特性までを収集し、次のストーリー展開に反映させます。一人一人に違うストーリーの展開があり、敵キャラが登場します。時にゲームプレイヤー同士が結束し、共通の敵を倒したりします。ゲーム内での出会いで擬似的な連帯感までが演出され、時にそれが裏切りのストーリーに変化します。
直接お金を使わない無料のゲームにも賭けの要素と報酬の要素がふんだんに盛り込まれています。「強キャラに挑む or 逃げる」こういった選択肢は賭けにあたります。強キャラを倒すと高得点ボーナスや特別なアイテムなどがもらえたりします。報酬ですね。報酬を意識すると人間の脳は興奮します。

学校に通う子供達の場合、学校での流行も外せない要素となります。休憩時間などに、ゲームステージやレアアイテムの自慢合戦が行われたりするのです。
つまり、嵌まるように作っている訳ですから、子供に「ゲームをやめなさい」と言っても大概は無理なのです。

多くの子供達の場合、無料のゲームから嵌まり始めて、やがてアイテム課金制のものに嵌まり始めます。
無料ゲームの場合は「何故無料でできるのか」をしっかり考える必要があります。そこには必ず広告があり、誘導があり、じわじわと刷り込みされているわけです。
無料で始めても幾ばくかのポイント(報酬)を付与されることでやめられなくなります。
課金されるゲームの場合、ギャンブルのような払い戻しがある訳ではなく、ゲーム内でのポイントなどで還元(報酬)されるので、脳が興奮してしまい、どんどん嵌まります。
ゲーム内でのポイント(報酬)は社会的価値はないのですが、ゲームのポイント(報酬)に快感を得て興奮している脳はそれに価値があると錯覚します。
そうなるとゲーム脳と揶揄されるような、反応だけでゲームに没頭する状態となってしまい、時間的感覚さえ失ってしまう場合があります。

射幸心に支配された状態から抜け出す道筋を教えなければなりません。
これはとても難しいことではあります。子供に「ゲームをやめなさい」と言っても難しいはずなのです。大人だってギャンブル依存になってしまうのですから。その構図は一緒です。
むしろ一般的なギャンブルよりもゲームの方がストーリー性が強く、より依存度が高いのです。

ゲームとギャンブル・・・射幸心以外の共通点を考えよう

ギャンブルやゲームに嵌まり込む人にとっては以下のような感覚があります。

  • 今楽しんでいるだけ
  • 自分の楽しみだから他人にとやかく言われたくない

つまり「今だけ」「自分だけ」の興奮に支配されているとも言えます
ギャンブルであれゲームであれ、それをやる事で誰かへの直接貢献になることはありません。そこで得られる喜びは他者へ感動を伝えることもないでしょうし、隣の誰かを幸せな気持ちにさせることもありません。ゲームやギャンブルで得られる喜びや楽しさは利己的なものです。
ゲームやギャンブルは周りの人への貢献がない割に、多くの時間を失います。場合によってはお金も失います。

もし、子供にゲームをやめさせようと思うなら

まず、親御さん自らが公営くじや公営ギャンブルやパチンコなどをやらない事。もしやっていたならそれを子供の前で宣言してやめる事。
上記を満たした上で色々と対話してみましょう。

  1. ゲームで遊んで得られたもの、ゲームで遊んで失ったもの
    ※ゲームでは【時間】を浪費します。取り返し不能【時間】を失っています。
  2. ゲームで遊んで誰が喜んだのか?
  3. 費やした時間分でゲーム以外の何かをしていたらどうなっていたか?

他にも話せる事は沢山あると思います。頭ごなしに怒っても無駄ですから、しっかり時間をかけて対話することです。対話なので、親から子への一方的な言い聞かせではないことに注意を払ってください。
対話のきっかけ作りには、お子さんがやっているゲームを親御さんもやってみればいいです。(ミイラ取りがミイラにならぬように)そうすると話をする緒が見えてきます。
ゲームそのものを全て悪とは思わず、まずは何故嵌まるのかを探ってみるとよいのです。

そして価値や喜びについて子供と対話してみましょう。

人が喜びを感じる場面について一緒に語らってみてください。一緒に考えてみてください。「今だけ」「自分だけ」の喜びは薄っぺらなのです。
自分の何かの行動が、他の人の喜びにつながった時の方が自分が感じる喜びも大きいのです。子供達がこの喜びのシステムに気が付くとゲームやギャンブルに嵌まらない人間性を持ち始めます。
また自己的な価値観から社会的な価値観へと考えを広げることができたなら、その子が大人になったときは素晴らしいリーダーシップを発揮するでしょう。

「今だけ」「自分だけ」の価値観や喜びで人生を歩むのは勿体ないのです。
「永続的に」「他人にも自分にも」「価値観を与え、喜びを与える」そういう感覚を多くの人で共有することが大切ですね。

子供達にとって毎日が学びです。社会に出て活躍する為の訓練が日々の成長です。
目先の楽しさへの反応ではなく、周りの人と一緒に喜べることの方がもっと楽しいと気付くとよいのです。

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